フレンズはテーマ曲が入る前に、必ず1,2分のスキットが入ります。
通常はこのやり取りで必ずオチがついてからドラマが始まるので、この部分は、本筋とつかず離れずの独特なパートになります。
30分すべてを聞き取るのが難しい、という方は、まずこの部分を何度も聞いて意味を理解するのがいいかもしれません。
今回はシーズン1の2話を解説してみます。
大事なのはニュアンス。ネイティブがどんなさじ加減で単語や話法を選んでいるのかを意識して聞いてみましょう。
The One With the Sonogram at the End
「最後に超音波診断機が出てきた話」
sonogramは、「超音波診断機」。妊婦のお腹の中を見るアレですね。
シーズン1の重要な流れのひとつである、ロスの(レズになってしまった)元奥さん,
キャロルの出産に関わる話です。
MONICA: What you guys don’t understand is, for us, kissing is as important as any part of it.
「男子がわかってないのはね、私たち(女性)にとっては、キスって他のどの部分とも同じくらい大事だって事。」
男と女の違いについてのトークのようですね。
(What you guys don’t understand) is…というように、言葉のグループがそのまま主語になるかたちは、日本人にはなかなかなじみが薄いかもしれませんが、ネイティブでは口語表現でもよく使うパターン。
普段のおしゃべりでも使えますが、どちらかというと会議でのプレゼンのような、オーディエンスの前で行うスピーチなんかで使われます。
もちろん、You guys don’t understand this, but…のように話しても会話が続きますが、モニカが選んだ話法だと、「私が声を大にして言いたいのはね」というような感じで、聴く人にアテンションを促すニュアンスが強まります。
JOEY: Yeah, right!…….Y’serious?
「はいはい、そうでしょうとも・・・ あれ、マジで言ってんの?」
Yeah, right!の言い方に注目してくださいね。半分鼻で笑いながら、「Yeah,right!」。
ジョーイの台詞は構文が単純な代わりに、抑揚でニュアンスをフルに伝えてきます。
僕らもネイティブには語彙の面でかなわないので、こういうところで気持ちを伝えることは大事。
かしこまったスピーチはできるけど、カジュアルな会話が苦手という方、ジョーイの英語を参考にできるかもしれません。
で、それに対して女性陣が、
PHOEBE: Oh, yeah!
「大マジよ!」
RACHEL: Everything you need to know is in that first kiss.
「最初のキスですべて決まるの」
MONICA: Absolutely.
「まさにそう。」
と返してきます。レイチェルの Everything you need to know is in that first kiss. は直訳すると、「あなたが知るべき全てのことがその最初のキスに含まれているんです」、といった感じでしょうか。
日本語ではここまで説明くさい言葉遣い、会話ではつかいませんよね。
でも英語だと、これくらいは全然不自然じゃない。
日本語も英語も主語の省略がありますが、日本語だといわゆる「一般論」を言うときに省略される事が多いように感じます。
英語でそれができるのは、はっきり何が主語かをお互いがわかりきっているときというニュアンス。
一般論で「そういうものだ」といいたい時には、この場合のようにYouを主語にとります。
で、今度はチャンドラーが男性陣の主張を展開しますが、ここの例えが秀逸です。
CHANDLER: Yeah, I think for us, kissing is pretty much like an opening act, y’know? I mean it’s like the stand-up comedian you have to sit through before Pink Floyd comes out.
「そうだな、僕らにとってはキスって、オープニングアクトみたいなものなんだ。わかる?なんていうかスタンダップ・コメディアンの前座を座って見てるようなもんさ、ピンクフロイドがライブを始める前にね。」
ピンク・フロイド(笑)。このネタ第2話だったんですね・・・。超鮮明に覚えてる。
kissing is like an opening act (キスをすることは前座のようなものだ)にpretty much を入れてるのは、「非常に~だ」という強調を入れている、というよりは、リズムを良くするくらいのニュアンスです。
sit through で、「ずっと席についている」、「最後まで見る」、ですね。
チャンドラーが皮肉たっぷりにバッサリ女性陣の意見を切り捨てるのに対し、ロスは少々歯切れが悪い感じ。
レイチェルに気のあるロスとしては、ウィットのきいた事を何か言いたいのですが、好感度も下げられない、といったところでしょうか。
ROSS: Yeah, and-and it’s not that we don’t like the comedian, it’s
that-that… that’s not why we bought the ticket.
「そう -それは、あの、僕らがコメディアンが嫌いだってわけじゃないんだ。うーん、なんというか、そのためにチケットを買うわけじゃないじゃない?」
いい人アピールを拭い去れないロスに対して、チャンドラーは切れ味をさらに増してきます。
CHANDLER: The problem is, though, after the concert’s over, no matter how great the show was, you girls are always looking for the comedian again, y’know?
I mean, we’re in the car, we’re fighting traffic…basically just trying to stay awake.
「問題なのはね、コンサートの本番が終わったら、それがどんなにすごいステージだったとしても、君ら女の子はコメディアンをもう一度見たがるだろ?もう帰りの車の中で渋滞に巻き込まれてさ。もう起きてるだけで精一杯なんだよね。」
「no matter how great the show was,」 よく使う表現ですが、日本人の口からすんなりこういう表現が出てくるのはなかなかハードルが高いかも。
でも日本語でもこれくらい複雑な構文を、僕らはなにも考えずに使いこなしてますよね?
no matter~=~なんて関係なく、
how great the show was=どれだけショウがすごかったか
、という風に、「単語」ではなく、「意味のカタマリ」で文をつかむ、これ、めちゃくちゃ大事です。
RACHEL: Yeah, well, word of advice: Bring back the comedian.
Otherwise next time you’re gonna find yourself sitting at home, listening to that album alone.
「あ、そ。じゃひとつ忠告しとくわね。コメディアンは再登場させること。でないと、次回からはあなたひとり自分の部屋でそのアルバムとやらを聞かなきゃいけなくなるわよ。」
で、モニカとハイタッチ。これは女性陣に軍配ですな。
レイチェルはチャンドラーとならんで早口で、ワンセンテンスに言葉を詰めるタイプのスピーカーです。でも滑舌が良いので聞きにくさは感じないと思います。見習いたいですね。
日本人が特に苦手なのが、子音をはっきりと発音する話し方。ここのラインを例にとると、「bring back the comedian」のBの発音ですかね。
できれば、聞いてマネして同じリズムで話せるようにしてみてくださいね。
さて、ここでキレイにオチがついた訳ですが、ここで終わらせないのがフレンズが他のシットコムと一線を画しているところじゃないかな。
JOEY: (PAUSE)….Are we still talking about sex?
「…あれ、これってまだセックスの話?」
この時点でキャラクターの住み分けがほぼ決まっているのがわかりますね。
ロスのいい人キャラやチャンドラーの皮肉屋キャラが徐々になりを潜めるのに対し、ジョーイのおバカキャラはシーズン10まで加速し続けます。
こういうキャラクターの微妙な変化もフレンズの見所のひとつだと思います。
・・・それでは今日のフレーズを復習。
CHANDLER: Yeah, I think for us, kissing is pretty much like an opening act, y’know?
RACHEL: Yeah, well, word of advice: Bring back the comedian.
Otherwise next time you’re gonna find yourself sitting at home, listening to that album alone.
ネイティブと間違えられるような発音じゃなくてもいい。いいんですが、ネイティブがこめるように感情をこめること、これは意識してほしい。
そういう気持ちで見れば、フレンズは最強の学習ツールになると確信しています。Good luck!